1.生息分布

フィリピン(ルソン島シエラマドレ山脈)

2.生息環境

 海抜1,200m、温度13-25C。湿度85-94%。川辺周辺の木の高所にコロニー状で生息。胡蝶蘭としては比較的中温・高湿度環境である。


3.形状

3-1. 花

(1)花被片

 花被片の形状は P. amabilisに似るが、開いた左右のリップ側弁全体が鮮やかな黄色で、P. amabilisとは容易に区別できる。複数の花茎に茎当たり10輪ほどの花をつける多輪花種である。ほとんどの花被片は純白色であるが、薄いピンク(特に花被片裏)あるいは側ガク片の基部に赤い斑点が入る。多輪花で同時に開花するためP. schillerianaP. stuartianaと並んで胡蝶蘭の中で最も華麗な種の一つであり、右写真のようにチョウが群がって飛んでいる光景をイメージしてしまう。一部で本種がP. aphroditeP. schillerianaとの自然交雑種(x leucorrhoda)と混同されたが、現在では独立した種とされている。 P. schilleianaに比べて初花から一斉開花までの時期は一般に早く1-2週間程度となる。

 花径は7.0-9.0cm。開花時期は初春。香りはほとんど無い。


Phal. Philippinensis

(2)  リップ・カルス

 下写真で左3枚が本種のリップやカルスを示す。P. amabilisP. aphroditeとの違いはリップ側弁が鮮黄色である点と、中央弁の形状がP. amabilisP. aphroditeに見られるような三角形ではなく、Lateral teethの突起も小さく台形である点と先端の髭もやや短いことである。花被弁形状からはそれらとの違いを識別できない。側弁のposterior側には赤い棒状斑点が入る。右写真は左からそれぞれP. stuartiana, P. schilleriana, P. philippinensisおよびP. aphroditeのリップを示す。側弁形状にそれぞれ特徴をもつ。

(3) さく果

 未収録

3-2.変種および地域変異

 花被片の色(白、薄いピンク)や基部の小斑点の有無などの変化があるが変種とされるものはない。

3-3.葉

 葉は長楕円形。長さ30-35cm、幅10-15cm。表面は一般には下記写真左端に示す緑色地に銀緑色あるいは鼠色班が入る。葉表面からはP. schileriana、P. celebensisP. lindeniiと区別することが難しい。一部は写真左から2枚目のやや赤みのある泥緑色に白い斑が散らばっているもの、写真中央および右端から2枚目のように鮮緑色に僅かに銀緑色班あるものなどが含まれる。僅かな斑点は本種やP. stuartianaでは良く見られるが、P. schileriana、P. celebensisにはほとんど見られない。裏面は写真右端に示す濃紫色を帯びる。葉は大きくなると下垂するためポット植えには適さない。


P. philippinensis葉形態

3-4.花茎

花茎は茶褐色の赤軸で、蕾の外皮も同色である。花茎は1mを超えるものがあるそうだが、温室栽培では60-70cm程度となる。1本の花茎からは最大4つの分岐が観測された。花茎は一過性で、花が終われば枯れる。筆者温室では11月中旬頃の夜間温度が18Cとなる時期から花茎が発生する。

3-5.根

 銀白色で太い。活着で扁平となる。根冠は茶褐色で活着面は黄土色。旺盛な根張りとなる。


4.育成

 >4.1 コンポスト

コンポスト
適応性 管理難度
備考(注意事項)
コルク・ヘゴ
ミズゴケ 素焼き
×
バークミックス 素焼き/プラスチック
×
クリプトモス プラスチック
中小苗

 4.2 難易度 (容易) 

 (1) 温度照明

 温度範囲は広い。中光。

 (2) 開花

 同時開花

 (3) 施肥

 特記すべき事項はない。

 4.3 病害虫

 細菌性の病気になると、本種の葉のまだら模様や色のため発見が遅れることがある。特に病気に弱い印象はない。


5.参考価格

輸出国 USD$ 備考
マレーシア
インドネシア
フィリピン 8
台湾
シンガポール 25
日本 4K-5K

6.特記事項

 本種は葉模様が同じであるP. schilerianaと誤って入荷することがある。本種は普通種と言われながらもP. sanderiana同様に意外と入手がしにくい。